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一人暮らしの冷蔵庫が、毎週ちょっと墓場になる話

野菜室の奥で液体になった小松菜を見つけるたびに、自分の生活力を疑ってしまう。あの罪悪感を減らすために、僕がやめたことと、続けていることをまとめました。

月曜の23時、野菜室の奥に、ビニール袋ごと液体になった小松菜がありました。

買ったのは、たぶん10日前だと思います。最初の3日でおひたしにするつもりだった、はずでした。気づいたときには袋の底に黒い水がたまっていて、それを流しに捨てながら、自分はちゃんと暮らせていないなと、軽く凹みました。

一人暮らしの冷蔵庫って、月に何回かこういう日がある気がします。

野菜室のいちばん奥で誰にも目撃されずに液体になる小松菜は、たぶん、家族と暮らす冷蔵庫では起きないタイプの事故です。今日はそういう、一人暮らし特有の食材ロスの話です。完璧な献立管理とか、栄養計算とか、続かなかったものは入っていません。

リマインドしてくれる人がいない

意志が弱いから腐らせている、と思っていた時期がけっこう長かったんですよね。

でもよく観察してみると、問題は意志じゃなくて、家にある食材を覚えていられないだけでした。スーパーで「キャベツあったかな」と一瞬考えて、「ない気がする」で買ってしまう。帰ってきたら半分残ったキャベツが奥から出てくる。これが月に2〜3回起きていました。

家族と暮らしていれば「キャベツあるよ」と誰かが言ってくれる。一人暮らしには、そのリマインダーがいません。冷蔵庫の中身は、扉を開けた一瞬しか自分の頭に入っていなくて、しかもその一瞬の記憶は驚くほどあてになりませんでした。

もう一つ効いているのが「平日と休日でリズムが違う」問題です。

平日は会社帰りにコンビニで済ませて、休日だけ自炊する。このパターンだと、日曜に買った野菜は次の日曜まで生き残れません。よく考えれば当たり前なんですけど、買い物の瞬間は「今週はちゃんと作るぞ」と思っているので気づかない。

買い物中の自分と、火曜の残業帰りの自分は、たぶん別の生き物なんですよね。

続かなかったもの

一人暮らし向けの記事を読むと、だいたい「週末にまとめ買いして、一週間の献立を立てましょう」と書いてあります。

3回やって、3回とも続きませんでした。

理由は、立てた献立を火曜の夜10時に思い出せないからです。残業から帰ってきて「今日は鶏むね肉と小松菜の炒め物だったな」と冷静に思い出せる人は、たぶんもう食材を腐らせていない。自分は、立てた献立を木曜には完全に忘れます。

レシピアプリも続きませんでした。アプリを開いた瞬間に映える写真の料理が作りたくなって、結局新しい食材を買い足してしまうんですよね。在庫を減らすために開いたはずなのに、増やして帰ってくる。これはもう、性格の問題かもしれません。

買い物前の3分で、勝負はだいたい決まる

地味だけど、いちばん効いた方法を書いておきます。

スーパーに行く前に冷蔵庫を開けて、上段、野菜室、冷凍庫と3枚スマホで撮る。それだけです。

これを始めてから、ダブり買いがほぼ消えました。月に2〜3回あったキャベツ事件が、ここ3か月で1回しか起きていません。

コツは、棚の中身を整理してから撮らないことです。「ちゃんと撮ろう」と思うと面倒で続かない。雑に開けて、雑に撮る。多少ピンボケでも自分が見て分かれば十分です。

買う前の3分の冷蔵庫チェックって、効くんだなと思ったのが意外でした。買ったあとにどう保存するかをずっと考えていたんですけど、たぶん、 買う前に1〜2品減らす ほうが、保存の工夫より効きが速いんですよね。

余談: 金曜の冷蔵庫掃除めし

もうひとつ続いているのが「金曜は買わない日」です。

週末の買い出しの前に、冷蔵庫の在庫だけで一食作る日を決めました。曜日は何でもよくて、自分の場合は金曜の夜です。半端に残った野菜と豆腐、冷凍庫の鶏もも、開けかけの味噌。これだけで何かしら作る。失敗してもよいことにしている。コンソメで煮るか、卵でとじれば、大体食べられる味になります。

これを入れただけで、土曜の朝の冷蔵庫がだいぶ軽くなりました。次の買い物で買いすぎる量も自然と減ります。在庫を消費する日を週に1回置くと、冷蔵庫が呼吸する感じがあります。

不足したものだけ、書く

献立は立てません。代わりに、週に1回、冷蔵庫を見ながら、切れているものだけメモします。

卵、牛乳、納豆、玉ねぎ。普段食べているものが切れたら補充する。それだけのリストです。

この「不足したものだけ書く」が、自分にはちょうどよかったんですよね。献立から逆算する方式は、未来の自分の意志に賭けすぎていて、月曜の自分は土曜の献立計画にだいたい裏切られる。でも「玉ねぎが切れている」は、未来の自分が誰であっても変わらない事実なので、リストとして信用できる。

うちはアプリで残量メモを取っているけど、紙のメモでもスマホの標準メモでも、結果はあまり変わらない気がします。「献立から逆算しない」「不足したものだけ書く」というルールのほうが本体で、ツールはあとから決めれば十分です。

メンタルの話、たぶん

3か月続けてみて、食材を捨てる頻度は体感で半分以下になりました。

劇的な変化じゃなくて、月に5〜6回あった「うわ、これダメだ」が、2〜3回に減ったくらいです。それでも、野菜室の奥から液体を発掘する罪悪感が減ったのは、思っていたよりずっと気分が良いものでした。

「ちゃんと暮らせていない」という低い自己評価が、月に数回だけ書き換わる。これはたぶん家計の話というより、メンタルの話だなと思います。

ロスを完全にゼロにしようとしないこと、これがいちばん大事なような気がしています。一人暮らしで食材を腐らせるのは、構造上ある程度避けられません。減らせれば十分、という前提でやると続きます。

完璧な台所より、月曜の23時の自分が許せる台所のほうが、たぶん長く続くんですよね。

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