共働きの夫婦が、買い物リストで小さく揉めなくなるまで
牛乳が二本ダブった夜に、僕はLINEで「買ったよ」と送ったつもりだった。共働きの買い物が静かに片付くようになるまでに、僕がやめたことと続けていることをまとめました。
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金曜の20時、自分が会社帰りに買ってきた牛乳と、妻がスーパーで買ってきた牛乳が、冷蔵庫の前で並びました。
「買うって言ったじゃん」と妻が言って、「言ったの読んでなかった」と自分が言って、別に喧嘩にはならないんですけど、ふたりとも少しだけ疲れた顔になりました。共働きで定時を越えた金曜の夜に、これが起きると、なんでもないやり取りでも家の空気がじわっと重くなる感じがします。
うちは結婚して4年で、ふたりとも残業が読めない月がそれなりにあります。買い物の段取りを揃えようとすると、揃うときは揃うんですけど、揃わない週に二回続けて牛乳がダブった夜があって、そこから「いい加減ちゃんと運用を考えよう」と話し合った記録が、半年分くらい残っています。
今日書きたいのは、その半年で「やってみてやめたこと」と「続いていること」です。共有家計簿アプリも、献立シェアサービスも、いろいろ試したんですけど、続いていない運用は書きません。続いたものだけ並べておきます。
共働きの買い物が、なぜ静かに揉めるのか
お互い悪気はないんですよね。少なくとも、うちはそうです。
問題はシンプルで、「相手が今日スーパーに寄れるかどうか」を、ふたりとも正確には知らないということでした。妻の会議が押しているのか、自分の打ち合わせが長引いているのか、お互いお昼以降の状況は把握していない。そして「念のため自分が買っておこう」とふたりとも思って、夜の冷蔵庫前で牛乳が並ぶ。
LINEで「買ってきて」と送る運用も試しました。これも続きませんでした。スレッドに流れてしまうと、買ったものと買わなかったものが混ざって、過去ログを遡らないとわからなくなる。深夜に「これ買った?」「いや、それは妻のリクエスト分」と確認し合う時間が、地味に積み上がっていったんですよね。
もうひとつ、見落としていたのが「在庫の認識がズレている」問題でした。自分は冷蔵庫を朝しか開けなくて、妻は夜しか開けない。お互いが見ている冷蔵庫の景色が、実は別物だったんです。卵があると思っていたら昨日使い切られていた、というのが月に何回か起きていました。
やめたこと
共働き向けの記事を読むと、よく「夫婦で週末に来週の献立を立てて、買うものを決めましょう」と書いてあります。
2回試して、2回ともやめました。日曜の夜に来週の予定を擦り合わせるのは、思っていた以上に体力がいるんですよね。月曜には水曜の予定が変わっていて、火曜には金曜の飲み会が決まる。日曜に立てた献立は水曜には半分くらい無効になっていて、それを直すための小会議をまた火曜の夜に開かないといけない。献立を細かく決めれば決めるほど、修正コストが上がっていくのを2週続けて体験しました。うちの予定の不確実性に対して、計画の粒度が細かすぎたんだと思います。
家計簿アプリのメモ欄に「買うものリスト」を書いていた時期もありました。これも続きませんでした。家計と買い物リストを混ぜるとどっちも雑になる。「今日のレシートを入れる」のと「明日買ってきてほしいもの」って、頭の使い方が違うのに、同じアプリの中だと切り替えがうまくいかなかった。
ツールはひとつにまとめたほうがいい、という思想を、ここで一回捨てました。買い物リストは買い物リスト専用、家計簿は家計簿専用。混ぜないほうが、結局は早い。
続いている1つ目: 切れたものだけ、リストに乗る
地味なんですけど、いちばん効きました。
冷蔵庫と日用品の在庫を、家族で見られるリストひとつにまとめて、「最小ストックを切ったものだけ」が自動で買い物リストに上がる仕組みにしました。リストには献立も予定も入りません。「卵が切れた」「シャンプーが切れた」「醤油が切れた」だけが並びます。
うちはアプリでやっているけど、冷蔵庫に貼ったホワイトボードでも結果は同じだと思います。大事なのは、リストに「これから買うもの」しか乗らないというルールのほうで、来週の献立とか予定とか、不確定な情報を混ぜないだけで、リストはぐっと読みやすくなりました。
どちらが買ってもよくて、買った人がチェックを入れる。それだけで、牛乳が2本並ぶ夜は消えました。
続いている2つ目: 寄れるかどうかは、朝に宣言する
夕方の擦り合わせをやめて、朝の出がけに一言だけ決めるようにしました。
「今日スーパー寄れる」か「寄れない」か、それだけ。判断は朝の自分にさせます。夕方の自分は疲れていて、判断を渋る生き物なので、当てにしない方針にしました。
どちらも寄れない日は、夕飯はあるもので作るか、外で済ませる。これを決めただけで、「念のため買っておく」が消えました。念のためが消えると、ダブり買いも自然に消えるんですよね。
寄れる日が来るまでリストは溜まっていくんですけど、3日くらい遅れても家庭は普通に回ることが、半年やってみてわかりました。意外と、卵が切れた翌日にすぐ買わなくても、なんとかなる夜のほうが多いんですよね。
続いている3つ目: 同じ画面で、同じ景色を見る
朝と夜で見ている冷蔵庫が違う問題は、在庫を画面に書き出すことで解決しました。
卵の残り、牛乳の残り、野菜室の中身。全部を入れるのは続かないので、「切れると困るもの」だけ20個くらい登録しています。それ以上やると更新が止まるし、やる必要もありませんでした。
お互いが同じ景色を見ていると、確認のLINEがほぼ要らなくなります。「卵ある?」と聞く前に、ふたりともアプリで卵の在庫を見ているんですよね。地味な変化なんですけど、夜の会話から確認事項がひとつ消えるだけで、家の空気は少し軽くなる感じがします。
余談: 帰り道に、3秒で済む確認
スーパーの店内で「これ家にあったかな」と思ったとき、以前はLINEで聞いて、妻の返事を待つあいだ、買い物カゴを抱えてジュースの棚あたりで突っ立っていました。
いまはリストを開いて3秒で確認できます。返事を待たなくていい買い物って、こんなに楽だったのかと半年経ってもまだ思います。
半年やってみて思うこと
買い物まわりで小さく揉める回数は、月3〜4回から、月1回以下に減りました。劇的ではないんですけど、金曜の夜に冷蔵庫の前で顔を見合わせる回数が減るのは、思っていたよりずっと暮らしを軽くしてくれます。
共働きの買い物で大事なのって、たぶん、頑張って共有することではなくて、共有しなくていい仕組みをつくることなんだなと思います。献立を擦り合わせない、予定を擦り合わせない、切れたものだけふたりで同じ場所を見る。それくらいで十分でした。
夫婦の段取りって、お互いの善意で回そうとすると、疲れているほうから先に倒れます。仕組みのほうに段取りを預けると、ふたりとも少し優しくいられる。これはたぶん、買い物の話というより、関係性の話だなと、最近思っています。
整った夫婦より、ちょっと雑でも長く続く夫婦のほうが、自分には合っている気がします。
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