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パントリーを整えても、3週間で元に戻る話

棚を一度きれいにしても、ひと月経てばまた缶詰の山に戻ります。何度かやり直してわかった、僕がやめたことと、続いていることをまとめました。

シンク下を開けて、洗剤の予備を探していたら、奥から賞味期限が2年前のトマト缶が出てきました。

買った記憶は、うっすらあります。たぶん2年前の春、ミートソースを作ろうと思った夜にスーパーで買って、結局その日は冷凍庫の餃子を温めて、缶は奥に押し込まれて、そのまま忘れていた。捨てながら、また同じことやっているなと思いました。パントリーをきちんと整えるのは、これで4回目くらいなんですよね。

半年に1回、思い立って棚を全部出して、種類ごとに並べて、ラベルを貼り直して、満足する。3週間後にはレトルトカレーが横倒しになっていて、また缶詰の地層ができている。これを何度繰り返したか、もう数えていません。

この記事は、整理術の話ではないです。整えた状態を続けようとして、続かなかったことから何が見えたか、という話を書きます。

整えた直後がいちばん危ない

きれいに並んだ棚を見ると、安心するんですよね。

それが落とし穴でした。「ちゃんと管理できている」と思った瞬間に、買い物中の確認をやめてしまう。スーパーで「たぶんツナ缶あったはず」と思って、買わずに帰る。次の週も同じ。3週目に「やっぱりなかったかも」と買って帰ったら、奥から3缶出てきた。

整理直後の安心感と、いま何が何個あるかの記憶は、別物だなと思います。前者は1週間もてばよいほうで、後者は買い物の瞬間にはもう消えている。きれいに並べた記憶のほうが強く残っているせいで、自分の在庫感覚を実際より高く見積もってしまう。

もう一つ気づいたのは、整えた直後ほど買い足したくなる、ということです。空いたスペースを見ると、何か入れたくなる。整理した翌週に無印に寄って、オイルサーディンを2缶買ってしまったことがありました。整理は、補充の言い訳になりやすい行為でもあるんですよね。

やめたものたち

3回試して、3回とも続かなかったものを並べておきます。

ひとつ目はテプラ。品名と賞味期限を貼るやつ。最初の2週間は完璧に運用できます。新しい缶を買ってきたら、貼ってからしまう。これがある日できなくなる。仕事終わりに買い物から帰ってきて、テプラを取り出す気力がない日が、必ず来る。一度サボると、貼っていない缶が混ざって、棚全体の信頼度が落ちる。そこからは早かったです。

ふたつ目は詰め替え。米や小麦粉を統一感のある容器に移すやつ。袋のままだと雪崩が起きるので、容器に入れたい気持ちはわかるんですけど、袋を開けて、容器を洗って乾かして、移して、空になった容器をまた洗う、という手順が、自分の生活には1つ多すぎました。容器のほうが汚れて、結局袋ごと棚に戻すようになった。

みっつ目はノートのストック表。「トマト缶 ×3、ツナ缶 ×4」と書いて、減ったら線で消すやつ。これは2週間でノートの場所がわからなくなって終わりました。冷蔵庫に貼っても効かない。貼った瞬間から景色になるんですよね。書く場所と見る場所が一致しないと、表は機能しないんだと思います。

どれも悪い方法ではないと思います。たぶん、向いている人にはちゃんと効く。自分には、手順が一つでも増えると続かないという弱点があるだけでした。

棚の写真を、雑に撮る

買い物に出る前に、パントリーの扉を開けて、スマホで1枚撮るだけ。

整えてから撮る必要はありません。むしろ雑に撮るほうが続きます。缶詰の段、乾物の段、調味料の段、と分けて撮りたくなりますが、面倒なので扉を開けて全体が入る角度で1枚で済ませている。ピントは合っていなくていい。スーパーで自分が見て「この棚にトマト缶あるな」と判断できれば、それで仕事は終わりです。

始めてから半年。買い足してしまうダブり買いが、月に2〜3回から、ここ最近はゼロが続いています。劇的ではないんですけど、棚を開けて未開封のオイルサーディンが3缶出てくる、あの少し気まずい瞬間がなくなったのは、思っていたよりずっと気が楽でした。

コツは、撮ったあとに整理を始めないこと。整理を始めると30分かかって、買い物に行くのが億劫になる。撮るだけ。それ以上はやらない。

月の最後の土曜は、何も買わない

月の最終土曜を、買い足さない日にしています。

その日は、棚にあるものだけで一食つくる。半端に残った乾燥パスタと、賞味期限が近いトマト缶と、開けかけのオリーブオイル。これだけで一食できます。失敗してもよくて、塩を強めにすれば大体食べられる。

この「買わない日」を月に1回入れると、棚が呼吸する感じがあるんですよね。いちばん古いものから消費されて、奥のほうにスペースができる。次の買い物で買いすぎる量も、自然と減っていく。

以前は「毎週やろう」と思って続きませんでした。月1なら、忘れていても月末のカレンダーで思い出せる。頻度を下げるほうが結果として続く、というのは少し意外でした。

余談: 完璧な日を、年に1回だけ作る

整える日をゼロにしたわけではないんです。

年に1回、たぶんゴールデンウィークか年末のどこかで、棚を全部出して並べ直す日を作っています。やる日は決めていなくて、たまたま余裕がある週末にやる。終わると気持ちいい。終わって3週間で崩れることも、もうわかっている。

崩れることを見越して整える、というのは、ちょっとへんな感じがします。でも、3週間しか保たないと知ってからやる整理は、心理的にずっと軽くなりました。「永遠にきれいにしておくぞ」という重さがないと、整理そのものが趣味みたいに楽しめる。

切れたものだけ、書く

ストック表は続かなかったですが、「切れたものだけ書く」は続いています。

棚を見て、よく使うのに今ないもの。トマト缶、ツナ缶、めんつゆ、米。それだけスマホのメモに書いて買い物に行く。在庫表ではなく、不足リストです。

うちは在庫アプリにそのまま移してあって、最小ストック数を1にしておくと「2缶あったうちの1缶を使った瞬間」に買うリストに出てきます。自分で気づかなくていい、というのが地味に効いている。紙でもメモアプリでも、結果は同じだと思います。大事なのは、棚にあるもの全部を管理しようとしないこと。切れたものだけ書く、というルールのほうです。

半年やってきて、パントリーが「整っている」状態は3週間しか続かない、というのが結論です。これは性格でも意志でもなく、たぶん構造の話だと思っています。

だから、整った状態を保つのではなく、崩れても困らない仕組みを作るほうに、考え方を変えました。写真、月1の買わない日、不足メモ。この3つは、棚が多少散らかっていても機能してくれる。

捨てる食材は、ゼロにはなっていません。今月もチキンスープの粉を1袋、賞味期限切れで捨てました。それでも、半年前と比べれば、扉を開けたときに「うわ」と声が出る回数は明らかに減りました。これは家計の話というより、台所に立つときの気分の話だなと思います。

完璧に整える日を年に1回だけ作って、あとは崩れることを許す。これくらいの距離感が、自分にはちょうどいい気がしています。

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