S STOQ Journal
Journal
· 約6分

引越し当日、段ボールが20箱あって何も見つからなかった話

引越し直後の3日間、歯ブラシとケトルとドライバーを段ボールから掘り出すために、合計2時間くらい使った気がします。次回からやめたことと、続けていることをまとめました。

引越し当日の夜、リビングの床に段ボールを20箱積み上げて、その前であぐらをかいて、しばらく動けない時間がありました。

まずケトルでお湯を沸かしたかった。次に歯を磨きたかった。スマホの充電も切れかけていて、ドライバーで照明の取り付けもしなきゃいけなかった。これだけのことに、必要な道具がぜんぶ20箱のどこかに散らばっている。1箱目を開けて、違う、2箱目を開けて、違う。3箱目で諦めて、コンビニで500ml の水とインスタントコーヒーとプラスチックのスプーンを買って帰ってきました。

引越しはたぶん3〜4年に1回くらいの頻度なんですけど、そのたびに同じ夜を過ごしている気がします。

今日書きたいのは、その「20箱の前で動けなくなる夜」を、半分くらいの長さに圧縮した話です。完璧なラベリングシステムにも Notion の持ち物データベースにも辿り着かなくて、続いたのは雑な工夫ばかりだったので、それを並べておきます。

「キッチン」と書かれた段ボールが3つ並ぶ問題

引越しが下手な理由を、ずっと「自分の段取りが悪いから」で説明していました。

たぶん、半分はそうです。でも残り半分は、ラベルの粒度の話だなと、3回目の引越しでようやく気づきました。

荷造りの瞬間って、目の前の物の出処は完全に分かっているんですよね。「これはキッチンの引き出し2段目のやつ」「これはシンク下の調味料ストック」って、迷わずテープに「キッチン」と書ける。問題は、それを次の家のリビングに並べた時点で、「キッチン」と書かれた箱が3つ並ぶことです。フライパンがどれに入っているか、もう自分でも分からない。

粒度を「部屋」で書いていたのが間違いで、「部屋+代表的な中身」くらいで書かないと、未来の自分にとっては情報量がゼロに近くなる。当たり前なんですけど、3年に1回しかやらない作業なので、毎回ゼロから学び直していました。

段ボールの上面に、中身を3つだけ書く

これが今回いちばん効きました。

「キッチン」とだけ書くのをやめて、「キッチン|フライパン・包丁・まな板」のように、目に入る大きい物を3つだけ追記する。それだけです。

これを始めてから、引越し先で「どの箱だっけ」がほぼ消えました。前回の引越しで30分くらい掘っていた洗面用具が、今回は2分で出てきた。劇的に変わるわけではないんですけど、3つの単語が書いてあるだけで、開ける前に7割くらい中身の見当がつくようになります。

コツは、全部書こうとしないことです。「ちゃんと書こう」と思うと面倒で続きません。目に入った大きい物を3つだけ。書ききれない細かい物は諦める。引越し当日に必要になるのは、たいてい大きい物のほうですし、細かい物は2〜3日かけて少しずつ出てくれば十分でした。

ペンは、油性の太字を箱に1本くくりつけておきます。マスキングテープに書いてもいいけど、テープは時間が経つとはがれるので、段ボールに直接書くのがいちばん長持ちしました。

初日箱を、1個だけ別格にする

これは2回目の引越しで覚えた工夫で、その後ずっと続いています。

引越し当日の夜から翌朝までに使う物だけ、専用の段ボール1つにまとめる。中身はだいたい決まっていて、歯ブラシ、タオル2枚、トイレットペーパー1ロール、スマホの充電ケーブル、ケトル、インスタントコーヒー、ドライバー1本、ハサミ、ゴミ袋数枚、絆創膏、現金少々。これだけです。

この箱だけは、引越し業者のトラックには積まずに、自分の車か手持ちで運びます。新居に着いたら、玄関に置いて、開けない箱の山には絶対に混ぜません。「初日箱」って大きく書いて、1〜2メートル離れた場所に隔離しておく感じで運用しています。

「初日箱」を作るようになってから、引越し当日の夜にコンビニへ走る回数がゼロになりました。これだけで気分がだいぶ違います。20箱の前で動けなくなることはあっても、お湯と歯ブラシだけはすぐ出てくる、という安心感が、その夜のメンタルを地味に支えてくれる感じがします。

余談: ガムテープの色分けは続かなかった

色分けは試して、続きませんでした。

キッチンは赤、寝室は青、洗面所は黄色、リビングは緑。出発時のテープの在庫は完璧だったんですけど、荷造り後半でキッチンが想定より多くなって、赤テープが切れて、近所のホームセンターに走って、買い足した先には赤テープがなくて、紫で代用して、紫が何の部屋だったか自分でも分からなくなって、結局すべてが透明テープに戻りました。

これが悔しいというより、ルールの強度ってシンプルなほど続くんだな、と分かったのが収穫でした。「上面に3つ書く」だけのルールが残ったのは、たぶんその雑さのおかげだと思います。

次の引越しのために、テンプレを残す

引越しが終わって2週間くらいして、生活が落ち着いてきた頃に、「初日箱に何を入れたか」と「うまくいったラベルの書き方」を、どこかに一度メモしておきます。

紙のメモでも、スマホのメモアプリでも、いいです。うちは STOQ というアプリの「持ち物テンプレ」機能に置いていて、引越しに限らず旅行や出張のテンプレと同じ場所で管理していますが、これは正直なんでもいい気がします。引越しは3〜4年に1回しかないので、その頃にはやり方を完全に忘れているから、未来の自分への手紙、くらいの距離感で残しておく。

大事なのは「次の自分が使える形で残す」ことで、ツールが何かはあとで決めれば十分です。

やってみてわかったこと

3回目の引越しで、初日の夜に物を探す時間は2時間から40分くらいに減りました。劇的じゃないです。

ただ、20箱の前で床に座り込んで「どこから手をつけたら…」と止まる時間が短くなったのは、思っていたよりずっと大きかったです。引越し当日って、契約とか挨拶とか家具の組み立てとかでもう体力ゼロなので、そこから30分歯ブラシを掘る、みたいな作業が消えるだけで、夜が静かに終わる感じがします。

20箱を完璧に管理しようとは、もう思っていません。3〜4年に1回しかやらない作業を完璧にこなすのは、たぶん人間の構造に合っていないし、無理に整えても次の引越しの頃には忘れています。整って見えるラベリングより、雑でも未来に渡せる手紙のほうが、自分には合っている気がします。

シェア

Related / 03

関連記事

Get Started

暮らしの「見えない時間」を、そっと短く。

まずは Free で、いちばん困っているカテゴリから。

Webアプリを開く