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ふるさと納税の肉が、冷凍庫で半年眠っていた話

去年の年末に駆け込みで頼んだ宮崎牛が、6月になっても冷凍庫の奥にいました。返礼品を腐らせないために、僕がやめたことと、続けていることをまとめます。

6月の水曜の夜に、宮崎牛のすき焼き用を発掘しました。

12月の最後の週に駆け込みで頼んだやつです。冷凍庫の引き出しのいちばん奥、霜の下から、化粧箱ごと出てきました。「美味しい召し上がり方」と書かれた紙の角が、霜で湿ってふやけている。これを「特別な日のため」に取っておいたのは、半年前の自分でした。

捨てるのは忍びなくて、その日の夜に解凍して焼きました。たぶん、本来の半分くらいの味だったと思います。生産者の方には、ちょっと顔向けできない焼き上がりでした。

ふるさと納税は得な制度で、これは間違いない。ただ、12月に駆け込みでまとめて申し込んで、年明けに段ボールが3つ4つ届く、というやり方を続けていると、毎年こうなるんですよね。3年それを繰り返したので、いまはやり方を変えました。今日はその話です。

駆け込みは、献立を選んでいない

最初の問題は、自分の意志の弱さじゃなくて、申し込むタイミングの構造だったと思っています。

ふるさと納税は、年末に枠を使い切ろうとして駆け込みで申し込みます。普段の食生活とは別の意思決定として「これも美味しそう」「これも限度額内に収まる」と選んでいくので、一回の選択が暮らしのリズムから完全に切り離されている。

結果として、1月から3月のあいだに、普段は買わない量の肉と海産物と米が一気に届きます。いつもの土日の献立で消費する想定の量を、はるかに超えた密度で。

しかも年末モードで選ぶときって「美味しいか」より「単価あたりの還元率」で見ちゃうんですよね。これが効いていて、家族3人なのに5kgのうなぎが届く、みたいなことが起きます。うなぎは美味しいんですけど、3週間連続で出すと家族の顔が曇る。

枠を全部使い切る、という目標 が、たぶん最初の罠だった気がしています。

8割で止める、3回に分ける

去年から、枠の8割くらいを目安に、1月・5月・9月の3回に分けて申し込むようにしました。

残り2割は、12月に「今年これだけは試したい」というものだけを足す予備にしています。届くタイミングが分散するので、冷凍庫が常に満杯、という状態が消えました。

これだけで、半年眠る肉がほとんど出なくなったんですよね。

理屈はシンプルで、冷凍庫の容量も、家族の食欲も、あと自分の調理意欲も、ぜんぶ12月一極集中で受け止められる仕様になっていなかった、というだけのことでした。3回に分けたら、それぞれが「いつもの買い物に少し色がつく」くらいの密度になって、献立に組み込みやすくなる。冷凍庫の余白が常にあるので、扉を開けたときの気持ちもけっこう違います。

届いた日に、一行だけ書く

もうひとつやっているのが、段ボールを開けたその日のうちに、何が何g入っていたかを書き出すことです。

紙でもメモアプリでも何でもよくて、うちは家族と共有している在庫アプリにそのまま入れています。妻が「今週うなぎ消費しよう」と先に言い出すことがあるので、共有しておく価値はある気がします。

大事なのは、見た目が綺麗かどうかじゃない。「宮崎牛 すき焼き 500g 冷凍庫」と一行書いてあれば十分です。届いた日に書かないと、3日後にはもう書く気が消えていることが、3回くらい確認できました。

これを始めてから、半年後に発掘される肉は、いまのところゼロです。

余談: 平日の火曜に、宮崎牛を出していい

これは技術というより、自分の頭のなかのラベルの話です。

返礼品って、無意識のうちに「特別な日のもの」というラベルが貼られてるんですよね。宮崎牛のすき焼きが冷凍庫にあると、平日の夜に出すのがもったいなく感じる。来週末こそ、誰かが来たときに、お祝いの日に、と先送りしているうちに半年が経つ。普通に買った肉なら2週間で食べているのに、です。

去年、自分に「平日に出していい」許可を出しました。火曜の夜に宮崎牛を焼いていい。いくらの瓶を水曜に開けていい。誰も来なくても、何の記念日でなくても。

このルールを家族と共有してから、冷凍庫の出入りが2倍くらい速くなりました。「特別」を待っているあいだに半解凍で雑に焼くより、火曜の夜に丁寧に焼いたほうが、よほど価値が出るんですよね。

主役を、在庫から決める

最後にひとつ。週末の献立を決めるとき、最近は冷凍庫の在庫から逆算しています。

ふるさと納税の返礼品って、献立の「主役」になる素材が多いです。肉、魚、米、果物。だったら主役を決めるところからじゃなくて、冷凍庫の在庫リストから「今週はこれを使い切る」を先に決めるほうが早い、と気づいたんですよね。

金曜の夜に在庫リストを開いて、来週末に出すものを1つ決める。それだけです。土曜の朝には自然解凍が始まっていて、土日のどちらかで食べる。決めるのは「主役」と「いつ食べるか」だけで、塩で焼くか、すき焼きにするかは、その日の気分でいい。

献立の細かい設計はしません。これ以上のことを設計すると、たぶん続かない感じがします。

制度を、生活の話に戻す

3年ほどこのやり方を続けて、返礼品を腐らせる回数はほぼゼロになりました。

劇的な節約じゃないんですよね。腐らせていた頃も、トータルでは制度として得をしていたはずなので。それでも、冷凍庫を開けるたびに「あの肉を食べないと」と思う罪悪感が消えたのは、想像していたよりずっと気分が軽い。

ふるさと納税って本来、応援したい自治体に寄附する制度のはずなので、届いたものを腐らせるのは、寄附先にも自分の家計にも、たぶん両方に対して損です。返礼品を「いつか食べるもの」から「来週食べるもの」に変えるだけで、冷凍庫が少しだけ静かになる気がしています。

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