S STOQ Journal
Journal
· 約6分

キャンプ前夜、リストを書き直さない暮らし方

毎回ゼロから持ち物を書き出して、それでも何かを忘れる。あの金曜の夜の小さな疲れを減らすために、僕がやめたことと、続いていることをまとめました。

金曜の夜、キャンプの前日にスマホのメモアプリを開いて、新規メモを作って、一行目に「持ち物」と書いて、そこから20分くらい止まる時期がありました。

頭の中で「テント、シュラフ、ペグ、ハンマー、ランタン、ガス…」と並べていくのですが、5個目あたりで「これ前回も同じことをしていなかったか」と気づく。前回のメモを探すと、3か月前のフォルダの底から「持ち物(更新版)」「持ち物(最終)」「持ち物(最終2)」が3つ並んで出てくる。どれが最新かもう思い出せなくて、結局いちばん新しいやつを上書きで開いて、書き直し始める。

キャンプは月1回くらいのペースなんですけど、この「金曜夜のリスト書き直し」がけっこう疲れるんですよね。リストを完成させる頃にはもう23時で、そこから車のラゲッジに荷物を積み始めるので、出発の朝はだいたい寝不足です。

今日書きたいのは、その金曜夜の20分を、3分くらいに圧縮した話です。1年くらい試行錯誤して、雑だけど続いている運用がいくつか残ったので、それを並べておきます。

ペグだけ家に残っていた、ある秋の日

きっかけは、2年前の秋の山中湖でした。

設営しようとして、ラゲッジからテントとポールを出して、ペグの袋がない。車のすみずみを探しても出てこない。記憶をたぐると、出発の朝に玄関で「あ、ペグも持っていかなきゃ」と思って、たしかに袋に入れて出した。出した記憶はあるけど、車に積んだ記憶がない。

結局、隣のサイトの人にペグを5本だけ借りて、足りないぶんは石で押さえて夜を越しました。テントは何とか立ったけど、自分の段取りに対する信頼は崩れたままその週末を過ごした感じがします。

帰ってからしばらく考えて、思ったのは、ペグを忘れたのは記憶力の問題ではないな、ということでした。前夜23時にゼロから持ち物リストを書き出して、出発の朝に玄関で並べて、車に積む——この流れのどこかで一個落ちるのは、構造上もう避けようがない気がします。

キャンプ箱を、家で解かない

それ以来、ひとつだけルールを変えました。

帰ってきても、キャンプ箱を解かない。

ペグ、ハンマー、ロープ、ランタン、ガス缶、ヘッドライト、軍手、ライターの予備、ガムテープ。これを丈夫な収納ケース1つにまとめて、家に帰ってもケースごと玄関の棚に置きっぱなしにします。中身を「片付け」たくなる衝動を、こらえる。

これだけで、現地での「あれ忘れた」がほぼ消えました。ペグだけ家に残っている、みたいな事故が、ここ1年でゼロです。

コツは、ケースの中をきれいに整理しないことです。「ちゃんと並べよう」と思うと、結局バラしたくなって、バラしたら戻すのが面倒で、棚の上で蓋が開いたまま放置されます。雑に放り込んで、雑に蓋を閉める。多少ぐちゃっとしていても、蓋が閉まれば「動かない部分」として機能してくれるんですよね。

「片付ける」をやめたら、忘れ物が減った、というのは少し皮肉な話だなと思いました。

動かない部分と、毎回変わる部分を分ける

キャンプ箱が「動かない部分」だとすると、毎回変わるのは食材・服・寝具と、一部の電池やガスの補充ぶんです。ここだけ、出発の3日前に書き出すようにしました。

夏なら虫除けと氷、秋なら厚手のシュラフと焚き火セット、冬なら使い捨てカイロ。ソロならクッカー1つ、家族ならまな板と鍋。書くのはこの差分だけ。

差分だけにすると、リストが10行くらいに収まります。10行なら、出発の朝にもう一度見直す気になれる。100行のリストは、見直す前に閉じてしまうんですよね。「全部書き出す」をやめて、「先週と違うとこだけ書く」に切り替えただけで、金曜夜の机の風景がずいぶん静かになりました。

差分のメモは、書いた紙を冷蔵庫に貼って、出発の朝に剥がして持っていきます。スマホのメモだとどこに行ったか分からなくなるので、紙のほうが続いています。100行のリストは紙だと書けないけど、10行なら書ける。長さが続けやすさを決めるのかもしれません。

余談: マスキングテープの寿命は2か月

一時期、キャンプ箱の中身に「ガス缶 残2」「電池 残4本」みたいなラベルを貼って管理していました。

1か月目は完璧。2か月目で文字が薄れて、3か月目で電池の本数とラベルが合わなくなって、4か月目には貼ってあるだけのテープが残っていました。

これが悔しいというより、自分の継続力の限界が見えて、むしろ少し安心したのを覚えています。続かないものを続けようとしないほうが、たぶん長期的には台所もキャンプ箱も静かに回ります。個人芸でもっているルールは、結局のところ仕組みじゃないんですよね。

開けたまま、写真を1枚

キャンプ箱を玄関の棚に戻す前に、開けた状態で上から1枚撮っておきます。

それだけです。次のキャンプの3日前、買い出しに行く前にその写真を見ると、何が減っているか、何が壊れたかが一瞬で分かる。「ガスがあと1缶しかない」「ヘッドライトの電池の予備が切れている」みたいなことが、棚の前に立つ前に思い出せるんですよね。

うちはキャンプ箱の中身を STOQ という在庫アプリにテンプレ登録していて、最低本数を切ったガス缶は買い物リストに勝手に乗ってきますが、これは正直、やってもやらなくても結果は大きく変わらない気がします。スマホの写真フォルダに「キャンプ箱_最新」が1枚あれば、たぶん同じ運用ができます。

大事なのは、「前回の状態」を残しておくことで、ツールが何かはあとで決めればいい。

やってみてわかったこと

1年やって、忘れ物の頻度は体感で年に4〜5回から1〜2回に減りました。劇的ではないです。

ただ、金曜夜の机の上で20分かけてリストを書き直す時間が消えたのが、思っていたよりずっと大きかったです。出発前夜の小さな疲れが減ると、土曜の朝の運転がだいぶ違う。山道の入り口に着いたとき、頭が前夜のリストの残り火で曇っていない、というだけで、現地での1日目が静かに始まる感じがします。

完璧なキャンパーになろうとは、もう思っていません。年に1〜2回はたぶん何かを忘れるし、そのときは現地で借りるか、なくても何とかします。整って見える持ち物管理より、書き直さなくていい運用のほうが、自分には合っている気がします。

シェア

Related / 03

関連記事

Get Started

暮らしの「見えない時間」を、そっと短く。

まずは Free で、いちばん困っているカテゴリから。

Webアプリを開く